おひつの樹 「サワラ 椹」

 

拙者は、おひつ侍 原 壱輩と申す。

本日はおひつの原材料となる「サワラ」について、書かせて頂くぞよ。

なぜ、「サワラ」がおひつに最適なのか?ご存じで御座ろうか?

 

 

サワラ(椹)とは?  

 

ヒノキによく似たサワラは、日本特産の常緑針葉樹でござる。

本州から九州にかけて広く分布し、福島県以南から中部地方(木曾地方・飛騨地方に多く)に特に多く、中でも木曽サワラは有名でござる。 

おひつの多くは、この木曽さわらが使われているのでござる。

 

江戸時代には木曽五木(ゴボク)の一つに指定され保護されておったのでござる。(木曽五木は、ヒノキクロベアスナロコウヤマキ、サワラの5種木)

五木とは、この種類の材木は、藩の重要な資材と位置づけられ、不法に売買したりすると、重く罰せられたようでござるぞ。

 

ヒノキに比べサワラは、渓流沿いや沢地など湿気の多い川沿いに自生する樹木でござる。

元々、水との相性が良い種類の樹なのですな。  直幹性で枝は細く、水平に伸びて、木全体としては円錐形、樹高は通常30m程にもなり申す。

樹皮は灰褐色あるいは赤褐色で、縦に長く裂けて、薄く剥がれる樹皮で、スギに似ており、 枝と枝の隙間が多く、樹形全体が「さわらか」な雰囲気を持つため、サワラと名付けられたようでござる。

 

鱗状の葉は、ヒノキ等と共に、鮮魚や松茸の下に敷く葉(「掻敷=かいじき」という)として使われるのでござる。 これは葉に含まれる成分(ピシフェリン酸)が酸化防止作用を持つためでござる。

 

サワラ材の特徴と用途

 

サワラはヒノキやヒバと違い、強い香りがないのが特徴の針葉樹でござる。 全くの無臭と云う訳では無く、ヒノキに似た穏やかな香りでござる。

この香りが穏やかな事が、食品を入れる器の材料としても、とても重要な要素の一つであったのでござる。


サワラの名の由来は「さっぱりした」という言葉の意味からきており、その名の通り、表面にも目立つような光沢はなく、外見的にも香りの意味でも、さっぱりとしたクセのない印象を受ける木材でござる。  材木は針葉樹の中でも格別に柔らかくて軽く、柱などの構造材には向かないため、ヒノキやスギよりも劣るとされますが、反面、匂いがないという特性を逆に活かし、匂いがつくとあまりよくないとされる、お米に関連したおひつや飯台、水に匂いをつけたくない用途の水桶などに使用されてきたのでござる。

 

また、サワラには精油分(ヤニ分)があり、殺菌作用があるので、衛生面からも重宝されているのでござるぞ。 昔々はこの様な自然な殺菌力を盛んに活用していたのでござるな!

しかし反面、新品はですぐには利用できず、米糠などでアク抜きをしてから乾燥させる必要がありまする。

 

元来、水辺を好む性質から水との相性が良く、水分を吸収しやすく、また、乾き易い材質のため、特におひつ材としては最適でござる。  

併せて、水を入れても腐食しにくい性質から、古くから風呂桶や水桶の材料としても多用されていたのでござる。

 

 

纏めると、軽軟な材で、水湿によく耐える、切削等の加工性は良い、乾燥は容易であるが割れやすいなど特徴がある木材でござる。

他にも彫刻、下駄、かまぼこ板、模型、家具などの昔ながらの和の製品の材料としても利用されており、 また屋根材に利用され、近年では桂離宮、金閣寺の修復に使われているのでござるぞ!

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