おひつの材は、何故「椹サワラ」

 

拙者は、おひつ侍 原 壱輩と申す。

 

サワラ(椹)とは?

 

ヒノキによく似たサワラは、日本特産の常緑針葉樹でござる。

本州から九州にかけて広く分布し、福島県以南から中部地方(木曾地方・飛騨地方)に特に多く、中でも木曽サワラは有名でござる。 樹形全体が「さわらか」な雰囲気を持つため、サワラと名付けられたようでござる。

おひつの多くは、この木曽さわらが使われているのでござる。

 

鱗状の葉は、ヒノキ等と共に、鮮魚や松茸の下に敷く葉(「掻敷=かいじき」という)として使われるのでござる。 これは葉に含まれる成分(ピシフェリン酸)が酸化防止作用を持つためでござる。

 

サワラ材の特徴

 

サワラはヒノキやヒバと違い、強い香りが無いのが特徴の針葉樹でござる。 全くの無臭と云う訳では無く、ヒノキに似た穏やかな香りでござる。

この香りが穏やかな事が、食品を入れる器の材料としても、とても重要な要素の一つであったのでござる。

サワラの名の由来は「さっぱりした」という言葉の意味からきており、その名の通り、表面にも目立つような光沢はなく、外見的にも香りの意味でも、さっぱりとしたクセのない印象を受ける木材でござる。  匂いがないという特性を逆に活かし、匂いがつくとあまりよくないとされる、お米に関連したおひつや飯台、水に匂いをつけたくない用途の水桶などに使用されてきたのでござる。

 

また、サワラには精油分(ヤニ分)があり、殺菌作用があるので、衛生面からも重宝されているのでござるぞ。 昔々はこの様な自然な殺菌力を盛んに活用していたのでござるな!

しかし、新品はですぐには利用できず、米糠などでアク抜きをしてから乾燥させる必要がありまする。

 

元来、水辺を好む性質から水との相性が良く、水分を吸収しやすく、また、乾き易い材質のため、特におひつ材としては最適でござる。  

併せて、水を入れても腐食しにくい性質から、古くから風呂桶や水桶の材料としても多用されていたのでござる。

 

 

まとめると、軽軟な材で、水湿によく耐える、切削等の加工性は良い、乾燥は容易であるが割れやすいなど特徴がある木材でござる。

他にも彫刻、下駄、かまぼこ板、模型、家具などの昔ながらの和の製品の材料としても利用されており、 また屋根材にも利用され、近年では桂離宮、金閣寺の修復にも使われているのでござるぞ!

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